JC-STARとは?系統用蓄電池の系統連系要件と確認ポイント

  • 2026/07/15
JC-STARと系統用蓄電池の系統連系要件・対象機器・適用時期を解説するアイキャッチ画像
この記事の結論

JC-STARは、IPA(情報処理推進機構)が運用する、IoT製品のセキュリティ機能への適合性を確認・可視化するラベリング制度です。系統用蓄電池では、通信機能を持つPCS・BMS・EMS等の出力制御装置・遠隔監視装置などについて、JC-STAR★1を取得した機器の利用が系統連系の要件になります。特別高圧・高圧は2027年4月以降、低圧50kW未満は2027年10月以降の契約申込みが対象で、判断基準は接続検討の受付日ではなく、契約申込日です。

系統用蓄電池の機器選定で、これから最も見落としやすいのがこのJC-STARです。制度の名前は聞いたことがあっても、「いつから」「どの機器が」「何を確認すればよいか」を正確に押さえている事業者はまだ多くありません。

特に注意が必要なのは、適用の判断基準が契約申込日である点です。接続検討を先に受理されていても、契約申込みが基準日以降になれば対象になります。機器を発注した後にこの要件に気づくと、機器の再選定、納期、費用に影響します。

この記事では、JC-STARの制度概要、系統用蓄電池での適用時期、対象機器、機器選定前の確認手順を、EPC・電気工事会社の目線で整理します。

この記事でわかること
  • JC-STARとは何か、系統用蓄電池の系統連系で何が変わるのか
  • ★1が系統連系要件になる時期(高圧・特高/低圧50kW未満)と契約申込日基準
  • 対象となる機器と、型番単位で確認すべき理由
  • ★1が意味すること・意味しないこと、ラベルの有効性確認
  • 機器選定前に行う確認手順と、対応できない場合に起きること

JC-STARとは何か|系統用蓄電池で何が変わるのか

JC-STAR(セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度)は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が運用する制度で、国内外の規格とも調和しつつ独自に定める適合基準に基づき、インターネット通信が可能なIoT製品のセキュリティ機能への適合性を確認・可視化するものです。2025年3月に運用が始まり、適合した製品には★1〜★4のレベルに応じた適合ラベルが付与されます。

系統用蓄電池にとってこの制度が重要なのは、資源エネルギー庁が、通信機能を持つ機器についてJC-STAR★1を取得した機器の利用を系統連系の要件とする方針を示しているからです。つまりJC-STARは、単なるセキュリティの推奨ではなく、系統につなげるかどうかに直結する連系要件になります。

JC-STARの系統連系要件は、系統用蓄電池だけでなく太陽光発電設備にも適用されます。太陽光発電でも、通信機能を持つPCS、出力制御装置、遠隔監視装置などについて、対象時期と型番ごとのJC-STAR★1取得状況を確認する必要があります。

JC-STAR★1が系統連系要件になる時期

適用時期は、接続区分によって次のように分かれています。

接続区分対象となる契約申込み
特別高圧・高圧2027年4月以降の契約申込み
低圧(50kW未満)2027年10月以降の契約申込み

判断基準は、接続検討の受付日ではなく、契約申込日です。接続検討が受理済みの案件でも、契約申込みが上記の基準日以降であれば、JC-STAR★1を取得した対象機器が必要になります。「接続検討まで進んでいるから対象外」という判断はできません。

2027年4月・10月は先の話に見えますが、系統用蓄電池の案件は、土地確保、接続検討、機器選定、契約申込みまでに時間がかかります。いま検討を始める案件の契約申込みが基準日以降になる可能性は十分にあり、機器選定の段階からJC-STARを織り込んでおく必要があります。申請手続きの全体の流れは、系統用蓄電池の電力申請・系統連系の記事で解説しています。

接続検討から契約申込みまでの流れを確認したい方へ系統用蓄電池の電力申請・系統連系の手順を確認する

JC-STARの対象となる機器と、確認が必要な機器

系統用蓄電池では、通信機能を持つPCS、BMS、EMS等の出力制御装置、遠隔監視装置、通信ゲートウェイなどについて確認が必要です。複数の機能が一つの製品へ統合されている場合や、主要な構成製品へ直接接続する機器も含め、型番単位で確認します。該当・関係する機器は次のとおりです。

  • 通信機能を持つPCS(パワーコンディショナ)
  • BMS(バッテリーマネジメントシステム)
  • EMS等の出力制御装置
  • 遠隔監視装置
  • 通信ゲートウェイ
  • ゲートウェイを介さず、主要な構成製品へ直接接続する機器
  • 複数の機能が1つの製品に統合されている場合は、その統合製品

一方で、発電・蓄電設備へ直接関連しないルーターや監視カメラなどは、系統連系要件上、上記の対象機器とは扱いが異なります。ただし、設備全体のセキュリティ対策としては、これらについてもJC-STAR取得製品の利用が推奨されます。

ここで重要なのは、「この機器名なら対象/対象外」という一般論で判断しないことです。対象範囲の細部は、今後の運用資料や一般送配電事業者側の仕様で具体化されていく可能性があります。また、同じ製品シリーズでも型番によって適合ラベルの取得状況は異なります。

したがって実務の結論はこうなります。製品名ではなく型番単位でIPAの適合ラベル取得製品リストを確認し、メーカー公式資料、一般送配電事業者、アグリゲーターの要件と照合することが、実務上の確認方法です。各機器が設備構成の中でどんな役割を担うかは、低圧系統用蓄電池の設備構成の記事で解説しています。

PCS・EMS・遠隔監視の役割から確認したい方へ低圧系統用蓄電池の設備構成(PCS・EMS・受電盤)を確認する

JC-STAR★1とは何を確認する制度か

JC-STARには★1から★4までのレベルがあります。★1は、IoT製品に共通して求められる最低限のセキュリティ要件への適合を、ベンダーの自己適合宣言に基づいて確認・可視化するものです。系統連系要件として求められるのは、この★1です。

一方で、★1の適合ラベルは次のことを意味しません。ここを取り違えると、機器選定や運用の判断を誤ります。

  • サイバー攻撃を完全に防げることを保証するものではありません
  • 電力会社の連系承認が自動的に得られることを意味しません
  • アグリゲーターとの接続・契約が保証されるわけではありません
  • 機器全体の性能や品質を保証するものではありません
  • 一度取得すれば無期限に有効というものではありません

最後の点は特に見落とされがちです。適合ラベルの有効期間は、原則として発行日から2年間で、延長手続きが認められると延長されます。IPAの取得製品リストには「有効」「失効猶予」「失効」「取消し」といった有効性の状態が表示されます。取得の有無だけでなく、その時点で有効かどうかまで確認してください。

機器選定前に行う確認手順

機器発注前に行うべき確認は、次の5ステップです。

1

契約申込み時期の見込みを確認する。自案件の契約申込みが2027年4月(高圧・特高)/2027年10月(低圧50kW未満)以降になる可能性があるかを、案件スケジュールから判断します。

2

対象機器を洗い出す。採用予定の構成から、通信機能を持つPCS・BMS・EMS等の出力制御装置・遠隔監視装置・通信ゲートウェイ、主要な構成製品へ直接接続する機器を特定します。

3

型番単位でIPAの取得製品リストと照合する。レベル(★1以上か)と有効性の状態まで確認します。

4

未取得の機器は、取得状況と時期をメーカーに書面で確認する。なお、IPAは適合ラベルの交付前に「取得見込み」「適合予定」等の表示を行わないようベンダーへ案内しています。メーカーの「取得予定」という説明は確定情報ではない前提で、時期と対象型番を書面で確認してください。

5

アグリゲーター・一般送配電事業者と構成の整合を確認する。EMS・通信方式の指定や技術要件と、JC-STAR対応の両方を満たす構成になっているかを突き合わせます。

JC-STAR★1に対応できない場合の影響

原則を明確にしておきます

対象時期以降の契約申込みで、系統連系要件の対象機器がJC-STAR★1を取得していなければ、その機器構成のままでは要件を満たしません。

この場合に取る実務対応は、次のとおりです。

  • ★1取得済みの型番への変更を検討する
  • 採用予定機器の取得状況・時期をメーカーに確認する(書面で)
  • 自案件の契約申込み時期と照合し、間に合うかを判断する
  • メーカー・アグリゲーター・一般送配電事業者と構成の扱いを確認する
  • 機器再選定になった場合の納期・費用への影響を早めに見積もる

影響が最も大きいのは、要件を知らずに機器を先行発注してしまうケースです。機器選定の順序(運用先の要件確認→連系協議→機器確定→発注)を守っていれば、この確認は自然に組み込めます。低圧50kW未満の事業化全体の流れは、低圧系統用蓄電池の解説記事で整理しています。

低圧50kW未満の事業化全体を確認したい方へ低圧系統用蓄電池の事業化・申請・アグリゲーター連携を確認する

JC-STARで誤解しやすいポイント

現場で実際に出やすい誤解を、正しい理解とセットで整理します。

誤解1 「接続検討が受理済みなら対象外」→ 誤りです。判断基準は契約申込日で、契約申込みが基準日以降なら対象です。
誤解2 「★1を取得していれば連系承認が得られる」→ 別の話です。★1は連系要件の一つであり、接続可否や技術協議は従来どおり必要です。
誤解3 「一度取得すれば永続的に有効」→ 有効期間は原則として発行日から2年間で、失効・取消しの状態もあります。有効性まで確認が必要です。
誤解4 「低圧だけの制度」→ 高圧・特高のほうが先(2027年4月)に適用されます。太陽光の対象機器にも適用されます。
誤解5 「蓄電池本体の性能規制」→ 対象は通信機能を持つ機器(PCS・BMS・EMS等・遠隔監視装置など)のセキュリティ要件です。

自社案件がJC-STARの対象になるか確認する

契約申込みの予定時期、採用予定のPCS・BMS・EMS・遠隔監視装置を確認し、JC-STAR★1の対象機器と取得状況を整理します。機器発注後の再選定を防ぐため、発注前の段階でご相談ください。

自社案件の対象機器を確認する

よくあるご質問

JC-STARとは何ですか?

IPA(情報処理推進機構)が運用する、IoT製品のセキュリティ機能への適合性を確認・可視化するラベリング制度です。★1〜★4のレベルがあり、系統用蓄電池の系統連系要件として求められるのは★1です。

いつから系統連系要件になりますか?

特別高圧・高圧は2027年4月以降、低圧50kW未満は2027年10月以降の契約申込みが対象です。判断基準は契約申込日です。

接続検討が受理済みなら対象外になりますか?

いいえ。判断基準は接続検討の受付日ではなく契約申込日です。接続検討が受理済みでも、契約申込みが基準日以降であれば、JC-STAR★1を取得した対象機器が必要です。

どの機器が対象ですか?

通信機能を持つPCS、BMS、EMS等の出力制御装置、遠隔監視装置、通信ゲートウェイなどです。複数の機能が統合された製品や、主要な構成製品へ直接接続する機器も含め、機器名の一般論で判断せず、型番単位でIPAの適合ラベル取得製品リストとメーカー資料で確認してください。

採用予定のPCSが★1未取得の場合はどうなりますか?

対象時期以降の契約申込みでは、その機器構成のままでは要件を満たしません。取得済み型番への変更、取得状況・時期のメーカーへの書面確認、契約申込み時期との照合を行い、機器再選定になった場合の納期・費用への影響を早めに確認してください。

既設の系統用蓄電池にも遡及適用されますか?

基準日前に契約申込みが完了している既設設備について、JC-STAR★1未取得機器を使用していることだけを理由に、直ちに系統接続できなくなるものではありません。ただし、PCS等の故障交換や蓄電池の増設時は、最新の制度運用と一般送配電事業者の扱いを確認する必要があります。交換・増設前に最新の公式情報を確認してください。

取得状況はどこで確認できますか?

IPAの適合ラベル取得製品リストで、型番単位で確認できます。リストには有効性の状態(有効・失効等)も表示されるため、取得の有無だけでなく、その時点で有効かどうかもあわせて確認してください。

出典:資源エネルギー庁「よくあるご質問(太陽光発電及び蓄電池のサイバーセキュリティ確保)」IPA「セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度(JC-STAR)」IPA「適合ラベル取得製品リスト」IPA「適合ラベルの確認方法」IPA「セキュリティラベリング制度(JC-STAR)についての詳細情報」

監修

みらい電設株式会社

神奈川県平塚市を拠点に、法人向け太陽光発電・蓄電池・高圧受電設備・系統連系申請に対応する電気工事会社です。自家消費・野立て太陽光発電を含む累計500件以上の施工実績と、高圧設備・系統連系申請の実務経験をもとに、系統用蓄電池(BESS)の機器選定、電力申請・系統連系の支援、EPC施工、試験対応までを支援しています。

建設業許可:神奈川県知事許可 第088603号/川崎市 太陽光発電設備普及事業者登録/小田原市 販売・施工事業者登録
最終更新:2026年7月