蓄電池の容量について
- 2022/06/02
- 家庭用蓄電池
本日は「蓄電池の容量」について解説します。
蓄電池には幅広い容量のラインナップがありますが、「うちにはどのくらいの容量の蓄電池が合ってるんだろう」と気になっている人が沢山いらっしゃいます。
そこで、本記事では蓄電池に関わる基本的な知識から、適切な容量を考える上で必要な知識までお伝えいたします。
ぜひ最後までご一読ください。
Table of Contents
どのくらいの容量があるのか
蓄電池を検索してみると、小さいものから大きいものまで様々なラインナップがあります。その中で、「どのくらいの蓄電池容量があるのか?」といった疑問を抱いたことはないでしょうか?
結論、現在販売されている住宅用の蓄電池は、容量の少ないもので4kWh前後、大きいもので16.6kWh程度になります。
当然、蓄電池の容量が大きければ大きいほど、多くの電力を貯めることができます。ですが、上記で挙げたように、現在販売されている蓄電池の全てが20kWh以内の容量で販売されています。
「多く貯められたほうがいいのだから、もっと大容量な住宅用の蓄電池があってもいいのでは?」と不思議に思われる方がいらっしゃるかもしれません。実は蓄電池に使用されている「電池」が関係します。
現在流通している多くの住宅用蓄電池は「リチウムイオン電池」が使用されています。
リチウムイオン電池は可燃性のある有機溶媒(電気を通しやすくする液状の物質)を使用しています。そのため、過充電やショートなどにより高熱になったり、最悪引火したりする可能性があります。
皆さまがお持ちであろうスマートフォンやノートPCにもリチウムイオン電池が使用されています。「スマホが発火してしまった」といったニュースや記事を1度は見聞きしたことがあるのではないでしょうか?
リチウムイオン電池は私たちにとって1番身近な「危険物」でもあります。当然、世界水準で安全が確認できたものが流通されている訳ですが、そのような理由で様々な制限があるのです。具体的に言えば、「消防法」といった法律によりその容量は制限されています。
この「消防法」があるため、もしご家庭に17kWh以上の蓄電池を設置するのであれば、設置前にあらかじめ消防署に届け出を行う必要があります。
知っておくべき「定格容量」について
皆さまに知って欲しい蓄電池を選ぶ際のポイントの1つは「定格容量」になります。近年、地震や台風といった災害による停電対策として、「停電時にどの電化製品をどのくらい使用したいか?」といった視点で購入を検討される方が増えています。
「kW」と「kWh」の違いについて
これから定格容量について学んでいただく前に、必要な知識である「kW」と「kWh」の違いについて説明していきます。既にご存知の人は次項に飛ばしていただいても構いません。ちょっと曖昧だな…という人は思い出していただくためにも、少しお付き合いいただけますと幸いです。
「kW(キロワット)」と「kWh(キロワットアワー)」これらはどちらも電気の単位です。最後に「h」があるかないかの違いなのですが、これらの単位にはどのような違いがあるのでしょうか。
これらはそれぞれ電気の「出力」→「kW」と電気の量「電力量」→「kWh」の単位になります。「kW」は電気の「出力」のことで、電気を放出する強さと言い換えることができます。水道の蛇口で例えると、蛇口をひねって出る水の勢いとイメージしていただければ理解しやすいかと思います。
真夏にクーラーを”強”でつけて、電子レンジとオーブンで調理をして、さらにドライヤーなどの高出力の製品を使ってしまうと家のブレーカーが落ちてしまうことがあります。これは、その一瞬のタイミングで使用している電気、つまり消費する電力が、電力会社との契約で設定していて家庭の出力の上限を超えてたため、安全のため電気を遮断しようとしてブレーカーが落ちるのです。
一方、「kWh」は電気の容量、「電気量」のことで、「どれだけの量の電気を充電して使えるか?」を表している単位になります。例えば、蛇口をひねって、浴槽に貯めることができる水量だと考えると、イメージしやすいかと思います。この浴槽、すなわち、電池が大きければ大きいほど、貯めることのできる「kWh(電気量)」は大きくなります。
では、「kW」と「kWh」の違いである「h」の意味についてもう少し説明していきます。この「h」は「時間(アワー)」を表します。したがって、「kWh」は「kW × h」の意味になり、「出力(kW)を1時間(h)使った単位」と言い換えることができます。例えば、蛇口から1時間、水を出しっぱなしにした時に、浴槽にたまる水をイメージしていただければと思います。
定格容量とは
さて、本題である「定格容量」について解説していきます。定格容量とは、「蓄電池に貯めることのできる電気の量」を表します。これだけでは分かりにくいと思いますので、下図のイメージをご覧ください。「kW」と「kWh」の違いで例えたように貯水槽で表現するのであれば、その容量は「タンクの大きさ」にあたります。単位としては、「kWh」になります。
蓄電池について検索してみると、「容量6.5kWh」や「容量9.8kWh」といった数字を見ると思いますが、これはその蓄電池にどのくらいの電気を貯めることができるのかを示したものになります。
蓄電池では「kWh」を単位としていますが、これをかみ砕くと「1kWを1時間(1h)使いたい時に必要な容量が1kWh」と言うことができます。例えば、6kWhの蓄電池があるとすると、1kWで6時間出し続けた電気を貯める事ができるということです。
ご家庭に合った最適な容量の選び方
上記から「蓄電池の容量が大きい方がいいんじゃない?」と思われる人もいらっしゃいますが、一般的に容量が大きくなれば価格も高くなります。また、家族構成やライフスタイルによって使いたい電力量も異なります。したがって、家庭に合った最適な容量選びがポイントの1つとなります。
容量選びのポイントは「停電時にどの電化製品をどのくらい使用したいか?」という考え方が重要となります。
ここからは簡単なシミュレーションを行うことで、具体的なイメージを掴んでいただければと思います。
まずは下記の表をもとに、停電時に使用したい電化製品とその消費電力量を仮定します。
【主な電化製品の消費電力一覧】
下記の6つの電化製品を利用したとして、その合計消費電力量を440Wと仮定します。
1 冷蔵庫
2 LEDスタンド
3 ノートPC
4 スマホ充電器
5 モデム・ルーター
6 液晶TV
①容量÷②消費電力量=③使用時間で計算することができるので、もし定格容量5kWhの蓄電池であれば、以下の計算式より使用時間を算出することができます。
上記の計算式より、その蓄電池容量が大きければ大きいほど、また、消費電力が低いほど長時間電化製品を使用することができることが分かります。
ただし、上述したように「定格容量」が大きいからと言って、実際に取り出せる容量は異なりますので、そのあたりは注意する必要があるでしょう。また、メーカーによってラインナップも豊富にあるため、容量選びに迷ってしまうでしょう。したがって、ご自宅に合った蓄電池を選ぶためにも、専門スタッフに1度ご相談されるのがベストです。