非常時の出力について(全負荷・特定負荷)
- 2022/06/02
- 家庭用蓄電池
本日は「非常時の出力について(全負荷・特定負荷)」について解説します。
蓄電池について調べると、その特徴に「全負荷タイプ」や「特定負荷タイプ」といったワードを目にすることがあります。ですが、「結局どういうこと?違いは?」や「どちらのタイプがいいか分からない」と疑問に思われる人も少なくありません。
実はこの2つの違いをしっかりと理解せずに蓄電池を導入すると、もしもの時の停電に困ることになります。後悔のない蓄電池選びのために、ぜひ最後までお読みください。
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「全負荷」と「特定負荷」の違いは?
「災害による停電などの非常時に蓄電池が使えたら安心」そうおっしゃるお客様が年々増えています。日本は災害大国でいつ大地震や豪雨が襲ってくるかは分かりません。いざというときの家族の安心・安全のために蓄電池の導入を決心される方も多いのではないでしょうか。
「蓄電池をつけていたら、普段と変わらない生活ができて安心だ」と言われる方が多い一方、それが実現できる蓄電池とできない蓄電池があるのです。というのは、蓄電池の非常時におけるバックアップ電源としての機能、つまり停電時の使い方には、2つのタイプがあります。それが「全負荷タイプ」と「特定負荷タイプ」です。1つずつ解説していきます。
全負荷タイプ
1つ目は、「全負荷」と呼ばれるタイプになります。これは先ほどよく皆さまがイメージされるといった蓄電池の使い方に近いものになります。全負荷型の蓄電池では設置時に、停電時に給電する配線系統を選ばず設置を行います。つまり、家中すべての電源をバックアップしてくれるので、停電時にも平常時と同様にすべて部屋の全ての電気製品を使うことが可能です。
家中で使用できるタイプになりますので、全負荷型の場合はエコキュートや大型エアコンなどの200Vコンセントにも対応している機種が増えています。停電になった際は、普段と変わらずに過ごすことができます。したがって近年では、多くのお客様に人気のタイプとなっています。
【全負荷タイプのイメージ】
特定負荷タイプ
2つ目は「特定負荷」と呼ばれるタイプになります。こちらの使い方は停電時に全ての部屋の全ての電化製品が使えるかというと、そうではありません。「特定」とあるように、あらかじめ定めた電化製品のみを使うことができるタイプになります。
特定負荷型の蓄電池では、全負荷タイプとは異なり、蓄電池の設置時にあらかじめ停電時に給電する配線系統を設定しておかなければなりません。例えば、停電時に必ず電気を使いたい部屋(リビング・キッチン)と使いたい電化製品(照明、冷蔵庫のコンセント)に給電するように設定します。そうすることで、緊急時の電気の使用を照明・冷蔵庫・エアコンといった必要最小限に留めることができます。
【特定負荷タイプのイメージ】
「全負荷」と「特定負荷」のどちらがよいのか?
弊社にお問い合わせいただくお客様から、「全負荷型、特定負荷型どちらのタイプがいいの?」といったご質問をお伺いすることがあります。「全負荷」・「特定負荷」の説明を見ると、全ての部屋で電気が使用できる全負荷型の蓄電池の方が優れているように感じます。
確かに家中で使用でき、使える電化製品の種類も多いため、そのような結論になりがちです。しかし、結論からお伝えいたしますと、「全負荷」、「特定負荷」ともにメリット・デメリットがあるため、ご家庭のライフスタイルに合ったタイプを選ぶ必要があります。
全負荷のメリットは上述したように、全ての部屋で電気を使用することができるため、普段通りの生活を送ることができます。ですが逆に考えれば、使っていると意識していない電化製品でも知らないうちに電気を消費してしまう可能性があります。したがって、2人暮らしでそこまで消費電力量が多くないご家庭の場合であれば、全負荷型の蓄電池はオーバーな機能と言えます。
また、非常時の電気の使い方として、電気を使う量が多ければ、蓄電池に貯まった電気をそれだけ早く消費してしまいます。短期間の停電であれば、蓄電池の電池残量をそれほど気にする必要はありませんが、本当の非常時で、長期の停電が続くとなったら心配になるかと思います。停電の復旧の予定や、太陽光発電による充電など蓄電池の電気残量に気を付けて生活をするといった注意は必要になってきます。
全負荷の蓄電池ですと、特定負荷の蓄電池と比べ、電気の使用量が多くなる傾向にあるので、比較的大きな容量の蓄電池の機種で採用されているタイプになります。ご家庭によってはそこまでの容量が必要ないお家もありますので、普段必要な容量等も含めてトータルで考えていくことが重要です。
停電時に使用する電力を抑え、出来る限り長時間蓄電池の電力を使用したいのであれば、特定負荷型の蓄電池を選ぶ方がメリットは大きいです。あらかじめよく使用する冷蔵庫や照明などの家電を決めておき、必要な箇所だけ回路を接続させていれば、無駄な電力の消費を極力下げることができます。しかし、お子様が沢山いらっしゃるご家庭など消費電力量が多い場合は、特定負荷では足りないケースもあるでしょう。
蓄電池を選ぶうえで、「全負荷」の蓄電池にするのか、それとも「特定負荷」なのか、は重要な項目です。非常時のご家庭の過ごし方を考えて選ばれることをオススメします。
例えば・・・
- 家族全員同じ部屋で過ごせるか
- 個人の部屋も使いたいのか
- 必ず使いたい電化製品はなんなのか
- それだけの電化製品を使うために必要な容量は?
といった視点が必要になるでしょう。
また、同じメーカーの蓄電池だとしても、機種やオプションによって、全負荷・特定負荷は違ってきますので、間違って違う負荷形態のものを買ってしまったとならないためにも、購入する型番や機能などの確認が必須です。
ここまでの内容を簡単にまとめると下の表になります。
全負荷 | 特定負荷 | |
停電時使えるコンセント | 全て(一部例外あり) | あらかじめ決めた一部のみ |
値段 | 比較的高価 | 比較的安価 |
容量 | 比較的多い | 比較的少ない |
200V対応 | 対応していることが多い | 対応していないことが多い |
サイズ | 比較的大きい | 比較的小さい |
全負荷型はやはり機能が特定負荷型よりも優れている分、比較的に価格は高価になるケースが多いですが、停電時に使えるコンセントの多さや停電時出力も200Vのものが多いことが特徴です。一方、特定負荷型の価格は比較的安くなっており、消費電力量が少ないご家庭にはピッタリな蓄電池になります。ですが、200V対応や容量が多くないことが特徴になります。
本記事では蓄電池の「全負荷」、「特定負荷」の違いを説明してきました。それぞれのメリット・デメリットがあるかと思いますが、ご家庭のライフスタイルに合った蓄電池を選ぶのが重要になります。
ご自宅に合った蓄電池を選ぶためにも、専門スタッフに1度ご相談されるのがベストでしょう。蓄電池の導入をご検討されている人がいらっしゃいましたら、みらい電設までご相談くださいませ。最後までお読みいただき誠にありがとうございました。