V2Hとは?家庭用蓄電池との違いを徹底解説!
- 2022/07/18
- オール電化・家庭用太陽光発電
- 家庭用太陽光
- V2H
本日は「V2H」について解説します。
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V2Hとは?家庭用蓄電池との違いは?
V2Hという言葉をどこかで見聞きしたことはないでしょうか?聞いたことはあるが、具体的に何を指すかよく分からないという方も多くいらっしゃいます。
「V2H」とは端的に言うと、「電気自動車(以下、EV)に蓄えた電力をご家庭で利用できるようにするシステムの総称」のことを指します。上記の図のように、自動車から家へを意味する「Vehicle to Home」がV2Hという名前の由来です。
もしご家庭にEVやHV(ハイブリッド車)がある場合、このV2Hを導入することで様々なメリットを享受することができます。但し、導入するにあたり注意点がいくつかございます。したがって、既にEV・HVをお持ちの方、これからEV・HVの購入を検討されている方は、V2Hについて事前に詳細を知っておくべきでしょう。
そこで、まずはV2Hの機能とその特徴について説明していきます。
V2Hの機能について
V2Hの機能は主に2つです。1つ目は「充電機能」、2つ目は「放電機能」です。簡単にではありますが、それぞれ解説していきます。
①充電機能
EVが走行するためには充電ステーションや家庭で充電する必要があります。ですが、家庭内で充電する場合、家庭内の電気は交流なので、EVに貯めるためには直流に変換しなければなりません。この交流⇒直流に変換する役割を担っているのがV2Hになります。
②放電機能
もう1つは、EVに蓄えた電気を家庭に放電することができます。EVに蓄えた電気は直流なので、そのまま家庭に流しても使用することができません。したがって、V2Hで直流⇒交流に変換することで、EVに貯めた電気を家庭内で使うことができます。
家庭用蓄電池との違いは?
それでは、V2Hと家庭用蓄電池との違いは何でしょう。結論、「V2H自体に蓄電機能はついてない」という点です。
V2Hは電気自動車から家の中に電気を送るための装置になります。したがって、基本的に電池を貯めることのできる蓄電機能は備わっていません。(※現在、一部のV2Hでは蓄電機能も搭載しているものもあります)
家庭用蓄電池との違いをまとめたものが下記の表です。
比較項目 | 家庭用蓄電池 | V2H+EV |
コスト | 比較的安い | 比較的高い |
容量 | 4kWh-16kWh | 40kWh-120kWh |
停電時 | 切り替えが早くおすすめ | EVがないと使えない |
補助金 | 最大60万円ほど(2022年) | 最大115万円ほど(2022年) |
コスト面では家庭用蓄電池のほうが、V2H+EVよりも比較的に安いです。しかし、コスト/容量のパフォーマンスだと、圧倒的に容量が多いV2H+EVのほうが高いと言えるでしょう。一般的に、太陽光と連携できる家庭用蓄電池の価格は100万円から、V2H対応のEVは200万円からなので、その価格は100万円ほど差があります。ですが、EVは走行機能と蓄電機能を備えているため、コスパに優れた商品であるといえます。最近では家庭用蓄電池にも、V2H+EVにも高額な補助金が交付されているため、よりコストを抑えて導入することができます。
また、EVはガソリン車よりも安い深夜電力を使えば約半分のコストで充電ができ、燃料費も抑えることができます。さらに、太陽光発電の余った電気で充電することでガソリン代を浮かせることができます。ロシアによるウクライナ侵攻を背景に、原油の高騰化が続く現在において、ガソリン代を削減することができるのはかなり経済的でしょう。
EVのほうが優れているように見えますが、EVを普段使いされるご家庭であれば、万が一の停電時にご家庭にないといったことも考えられます。また、家庭用蓄電池は停電時の切り替えが比較的に早いため、停電時の安心はV2H+EVよりも高いといえるでしょう。
V2Hのメリット・デメリットを解説!
上記でも簡単に触れましたが、V2Hを導入することによるメリット・デメリットがあります。下記の表はそれぞれまとめたものになります。
メリット | デメリット |
① EV・HVの充電時間を短縮する | ①EVのバッテリーの劣化が早くなる |
②停電時に非常用バッテリーになる | ②高額な初期費用がかかる |
③電気代削減に繋がる |
V2を導入する3つのメリット
①EV・HVの充電時間を短縮する
V2Hはご家庭の充電コンセント(200V)に比べて、約半分ほどの時間で満タンにすることができます。充電コンセント(普通充電)の場合、充電器の種類や車種、電圧、航続距離にもよりますが、12~16時間程度で充電が完了します。一方でV2Hの場合、その約半分程度で充電が完了しますので、6~8時間となります。就寝前に充電しておけば、いざ使いたいときに十分に充電できていないといった状態はほとんど起きません。
②停電時に非常用バッテリーになる
V2H+EVがあると、万が一の停電時にも安心です。近年、自然災害による停電や電力需給圧迫による計画停電のリスクが高まっています。停電が長時間続くと、冷蔵庫の中がダメになってしまったり、夏場や冬場では気温調整ができないため、最悪命に関わったりすることになります。上記図のようにV2Hを通じた給電は電力会社とは系統が異なるため、 停電時にも電気を使用することが可能です。
③電気代削減に繋がる
V2Hを導入することで、EVを蓄電池として使用することができます。そのため、EVを使用していない時間帯に電気を充電し、電気が必要なときにV2Hを通じて家庭内で使用すれば、電気代を節約することができます。
また、太陽光発電システムがあるご家庭であれば、つくった電気をEVに貯めることができるため、さらに経済的です。EVを駐車場に停めている場合に限るものの、V2Hを通じて家庭内で電気を使用すれば、日中の電気代を抑えられるため電気代削減に繋がります。
V2を導入する2つのデメリット
①EVのバッテリーの劣化が早くなる
蓄電池は充電と放電を繰り返すことで劣化する傾向があります。これはEVも例外ではありません。V2Hを導入するとEVのバッテリーを走行以外でも使うため、充放電の回数が多くなります。
スマートフォンのバッテリー容量が充電してもすぐになくなってしまう経験をしたことがある人は直感的に理解しやすいかと思います。これも充放電を何度も繰り返すうちに、バッテリーの劣化が進んだ結果起きる現象です。
したがって、EVのバッテリーをできるだけ長期間使用していくためには、充放電の回数を押さえることがポイントになります。具体的に言えば、0%になる前、例えば20~30%程度になったときに充電すると劣化のスピードを抑えることができます。
②高額な初期費用がかかる
V2H自体は家庭用蓄電池と比較すると、そのコストは1/2~1/3ですが、EVとセットになります。したがって、EVのコストがかかってくるため、導入には高額な初期費用がかかります。加えて、見落とされがちではありますが、工事費用も比較的に高くなる傾向にあります。経済メリットがあるとはいえ、莫大な導入費用がかかれば本末転倒です。販売会社とコストバランスを相談しながら、V2H+EVの導入を検討しましょう。
V2Hに対応した電気自動車(EV)は?
V2Hを利用するためには、V2H専用機器が所有しているEVやPHVに対応しているかどうかが重要です。対応していないEVやPHV・V2H専用機器同士では、V2Hを通じて家の中に給電することができません。また、V2H専用機器の機種によって接続できるEVやPHVが異なるため、導入時に確認が必要です。
V2Hが対応している主なEVやPHVの例を以下に紹介します。
引用:日産「NISSAN LEAF」
自動車メーカー | 車種の例 | 補足 |
日産自動車 | リーフ e-NV200 | リーフは「40kWh」と「62kWh」の2タイプがある。走行距離は322~458km。 |
三菱自動車 | MINICAB-MiEV エクリプスクロス | エクリプスクロス(PHEVモデル)は総電力量(電池容量)13.8kWhである |
トヨタ自動車 | プリウスPHV MIRAI(FCV) | プリウスPHVの走行距離は約60km。 |
本田技研工業 | Honda e | 総電力量35.5kWh/一充電走行距離283km |
まとめますと、V2Hを導入すると、EVに蓄積された電気を家庭で使用することができます。EV・PHVの充電時間を短縮できることや、電気代を削減できることなどがV2Hを導入するメリットになります。
一方、電気自動車のバッテリーが劣化する点や、初期費用の高さなどがV2Hのデメリットになります。V2Hを導入する際は、家庭の状況に適した機器を選ぶことがポイントです。もしV2H+EVの導入を考えている方がいらっしゃいましたら、ぜひ弊社にご相談ください。