太陽光パネルのメンテナンス
- 2022/07/18
- 太陽光発電メンテナンス(O&M)
- 点検(O&M)
- IR,IV特性測定
皆様は太陽光発電の定期的なメンテナンスを行っていますか?
太陽光発電に対して、特段メンテナンスは必要ないとお考えの方いらっしゃるのではないでしょうか?また、そのイメージのままに太陽光発電のメンテナンスを怠っている、または最低限のメンテナンスしか行っていない方も多いのではないでしょうか?
しかし、太陽光発電も機械設備であり、常に外気に晒されているため故障はつきものです。そのため、故障を防ぐためにも故障による二次災害を防ぐためにも定期的なメンテナンスを行う必要があります。
また、特に太陽光パネルは設備における面積も大きく、雨や風を前面に受ける設備である為、故障も多くそれゆえ定期的なメンテナンスが必須の設備であると言えます。
では、実際に太陽光パネルの点検としてどのようなことを行う必要があるのでしょうか?
今回は、太陽光パネルについて、メンテナンスの必要性やその項目についてご説明いたします。
是非、最後までご覧ください。
Table of Contents
太陽光パネルの劣化要因
太陽光パネルの劣化についてお話しする前に、太陽光発電設備全体の劣化についてご説明します。
先述の通り、太陽光発電は機械設備であり、常に外気に晒されています。そのため、使用することに伴う劣化は避けられません。では、実際に太陽光発電はどの程度の期間で劣化していくのでしょうか?
太陽光発電設備の法定耐用年数は17年と定められています。つまり、太陽光発電を導入した場合、17年の時間を掛けて償却していくということです。しかし、これはあくまでも税制上に定められた年数であり、正確な太陽光発電の寿命ではありません。
実際に、太陽光発電設備のひとつであるパワーコンディショナーの寿命は10年~15年程度であり、17年の法定耐用年よりも早く寿命を迎える場合が多いです。
また、太陽光パネルもパワコンと同様に故障やトラブルが多い設備のひとつです。
では、太陽光パネルに起きる不具合としてはどのようなものが挙げられるのでしょうか?
よく挙げられるのが配線の腐食や層間剝離などです。
層間剝離とは、太陽光パネルのセルの部分と表面のガラスの間に隙間ができてしまう現象です。隙間が生まれた部分に関しては、電力抵抗が発生してしまう他、白く変色してしまうことで発電効率が低下してしまうなどにより、全体的に発電量が低下してしまいます。
この、層間剝離は太陽光パネル内に水気が入ることで発生してしまう現象ですが、同じく湿度の高い場所では、回路や配線自体の劣化も起こりやすくなってしまいます。太陽光パネルを熱や湿気から守る封止材やバックシートなどが劣化することにより硫酸ガスが発生してしまうためです。これらの劣化により、太陽光発電設備の発電量は大きく低下してしまいます。
また、そのほかにも表面に汚れが付着してしまうことでも発電量の低下が起こります。
太陽光パネルは外気と接する面積が大きいがゆえに、塵や埃、鳥のフンなどが付着しやすくなっています。そのため、それらが付着し発電を妨げることによって発電量が低下してしまうのです。
太陽光パネルにO&Mは必要?
ここまで、太陽光パネルの不具合についてご紹介してきました。では、これらの不具合を防ぐための手法としてO&Mは必要なのでしょうか?
結論、太陽光パネルにも定期的なメンテナンスが必要です。
実際に、パネル表面の汚れなどは、洗浄を行うことで簡単に落とせるため、簡単なメンテナンスを行うだけでも発電量の上昇を見込むことが出来ます。
また、そのほかの不具合に関してもメンテナンスによって防げるものがあったり、メンテナンスを行うことで早期の発見に繋がったりと、太陽光パネルが発電しないことによる売電収入の損失を考えた場合、メンテナンスは行うべきだと言えます。
太陽光パネルの点検項目
では、実際に太陽光パネルのO&Mを行うとなった際、どのような箇所の点検を行えばよいのでしょうか?ここでは、太陽光パネルのメンテナンス項目についてご紹介します。
太陽光発電のメンテナンス項目に関しては、日本電機工業会(JEMA)と太陽光発電協会(JPEA)により公表されている「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」が一般的な基準となる場合が多く、ここでは、そのガイドラインに基づいてパネルの点検項目についてご説明します。
上記資料における太陽光パネルでのメンテナンス項目と主なメンテナンス内容と一覧は下記の通りです。
メンテナンス項目 | メンテナンス内容 |
表面の汚れ・破損 | 著しい汚れ、きず、破損がない |
裏面の汚れ・破損 | 著しい汚れ、きず、破損がない |
端子箱の破損・変形 | 破損、変形がない |
フレームの破損・変形・腐食 | 著しい汚れ、さび、腐食、破損 及び変形などがない。 |
太陽電池セル表面のスネイルトレイル | スネイルトレイルがある場合、経過観測し、 観測の結果、著しい 発電能力の低下がない。 |
これらの内容について、目で確認する「目視」にて確認を行うのが一般的です。任意の点検ではありますが、上記の項目に関しては4年に1回程度の点検が必要とされています。
太陽光パネルの点検サービス
先述の項目についての点検が一般的とされていますが、これらの点検についてどのような点検方法を用いて点検を行うのでしょうか?また、上記の内容以外についても提供されているO&Mサービスはあるのでしょうか?ここでは、太陽光パネルの点検について3種類ご紹介致します。
ドローンによる太陽光発電診断
太陽光発電の目視点検というと、技術者の人が実際に発電設備の一つ一つに目を通して点検を行うというイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか?人間の目視で点検を行う場合、様々な箇所を見ることができ見逃しが発生しにくいというメリットがある一方で、ひとつの発電所の点検を行うのに膨大な時間が掛かってしまいます。
そこで活用されているのがドローンによる診断です。ドローンの登場・発達により細かな点検を人間に変わりドローンが代行できるようになりました。
また、ドローンでは人間が目視で行うようなカメラでの点検だけではなく、赤外線サーモグラフィーを使用してモジュールに発生している異常を検知することが出来ます。
IVカーブ測定
IVカーブとは、太陽電池が実際に作動している状態での電流と電圧の関係をグラフ化したものであり、
このカーブ特性を計測することで発電能力を把握できるだけでなく、複数ストリングのカーブと相対比較することにより、以上ストリングの判定も行うことが出来ます。
IVカーブ測定は、一般的な太陽光発電の点検必須項目として挙げられており、サーモグラフィー検査と組み合わせることで特定モジュール単体の出力を判断することもできます。
テスター確認
また、テスターを用いた解放電圧の確認なども行っています。テスター・クランプ電流計を使用することにより、発電中のPVケーブルにおけるストリング発電電流測定、接続箱でのストリングの開放電圧、パネル単位の開放電圧の測定を行います。
ここまで、太陽光パネルのO&Mについてご説明しました。太陽光パネルの不具合や故障による事故を防止するだけでなく、発電量アップのためにも太陽光パネルのO&Mは欠かせません。太陽光発電をお持ちの皆様は、是非これらの点検方法を活用した太陽光パネルのO&Mについて検討されてみてはいかがでしょうか?
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。