太陽光・オール電化コラム

パワコンのメンテナンスについて

  • 2022/06/02
  • リパワリング

太陽光発電にはメンテナンスが欠かせません。

太陽光発電はメンテナンスフリーで放っておいても発電してくれるというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、メンテナンスを怠ってしまうと、大きなトラブルの発生に繋がる可能性があります。

中でも、太陽光発電の中心設備となり、重要な役割を果たすパワーコンディショナーは、特にメンテナンスを行う必要性が高い設備となります。

では、実際にパワーコンディショナーにおいてはどの様なメンテナンスが必要であり、どれくらいの費用が掛かるのでしょうか?

今回は、パワーコンディショナーのメンテナンスについてご説明させていただきます。

是非、最後までご覧ください。

パワーコンディショナーとは?

パワーコンディショナーは直流電力を交流電力に変換するための設備であり、「パワコン」や「PCS」などとも呼ばれます。

太陽光発電というと、太陽光パネルに目が行きがちですが、パワーコンディショナーも太陽光パネルと同様に太陽光発電設備にとって必要不可欠なものです。

太陽光パネルで発電された電力は直流電力であり、そのままだと我々が電気として使用することができません。また、電力会社に売電を行う際も電力は交流でなければなりません。

そこで、電力を直流から交流に変換する設備としてパワーコンディショナーが用いられます。

また、パワーコンディショナーには電力の変換機能以外にも様々な機能があります。

MPPT(最大電力追従制御)

太陽光発電は日射量や日照時間によって発電量が異なるため、天候に大きく左右されてしまいます。

実際、電流と電圧に差が出てしまい発電量が不安定になり、想定した電力を得られないということが起こります。これを防ぐため、パワーコンディショナーでは発電量が最も多くなる電圧差を割り出して自動で調整してくれる機能があります。

この機能により、ロスを極力抑えた発電が可能になります。

逆潮流制御機能

逆潮流とは、系統を通して電力会社に電気を流す機能、つまり発電した電力を電力会社に売電するための機能です。

電力は電圧が高いところから低いところに向かって流れます。電力会社から供給される電圧はおおよそ100Vであり、電力会社に電気を流すためにはそれ以上の電圧で電力を流し続ける必要があります。

パワーコンディショナーを用いることで、出力電圧を調整することができます。

また、電圧を上げるだけでなく、売電する際や自家消費する際に合わせて電圧や周波数などを調整する機能も備えています。

系統連系保護機能

電力会社から供給される電力は周波数や電圧を一定にするようなシステムが用いられている為、常に安定した周波数と電圧の電力を使用することができます。

系統連系を行い、家から外に電力を繋いでしまうと太陽光発電に不具合があった際に周辺地域に供給される電力に影響が及ぶ可能性があります。

このような事態の発生を防ぐために、パワーコンディショナーには過電圧や電力不足等の異常事態を検知して、系統から電力を切り離す機能があります。

太陽光発電設備側のトラブルを検知できることに加え、系統側のトラブルも検知して系統から電力を切り離すことができます。そのため、系統のトラブルにより停電が起こった際にも太陽光発電から供給された電力は使用することができます。

上記の通り、太陽光発電にとって無くてはならない様々な機能を持つパワーコンディショナーですが、多機能ゆえ故障も多く定期的なメンテナンスが必要となる設備です。

パワコンにメンテナンスは必要?

パワーコンディショナーにメンテナンスが必要となる理由は先述の通りですが、故障するまで放置してから交換される方もいらっしゃるのではないでしょうか?

しかし、交換となってしまうと一台交換するだけでも多額の費用が発生してしまいます。

交換に繋がる故障の原因は、基盤の故障や換気フィルタの目詰まりなど様々ですが、フィルタの目詰まりが原因の場合は早期に発見することで、故障を防ぐことができます。

そのため、将来的な費用負担を考えた際には、定期的なメンテナンスを行うことで、費用負担を安く済ませることができるという場合も多く、保険的な意味でもメンテナンスを行うことにはメリットがあります。

日常的に行うパワコンの点検項目

ここからはパワーコンディショナーの点検項目についてご説明いたします。

日常点検では、目視による異常の確認やフィルタの交換・清掃等を行います。

日常点検を行う項目としては以下の通りです。

項目 費用
接続箱の腐食及び破損 外観に著しい腐食,さび,きず,及び機能を損なう可能性のある破損がない。(鍵付きの場合)扉の施錠がされている。
外部配線の損傷 接続されている配線に著しいきず,破損がない。
電線管の破損 配線ケーブルを納める配管に著しいきず,腐食などがない。
通気確認 通気孔をふさいでいない。 換気フィルタ(ある場合)が目詰まりしていな い。
異常音など 運転時の異常音、異常な振動、異臭及び異常な 過熱がない。
表示部の異常管理 表示部に異常コード、異常を示すランプの点灯、点滅などがない。
発電状況 表示部の発電状況に異常がない。

これらの点検を日常的に行う必要があります。

日常点検項目に関しては目視で行うため、自分で行うことで業者へ依頼する費用を削減することができます。

定期的に行うパワコンの点検項目

定期点検は義務化されているわけではないものの、法令点検として推奨されています。

日常点検での目視での点検ではできる内容に限界があるため、定期点検ではより細かな点検を行います。

定期点検項目の例が以下の通りです。

項目 費用
外部の腐食及び破損 著しい汚れ、さび、腐食、きず、破損及び変形がない。
設置状態 外箱の固定ボルトなどに緩みがなく確実に取り付けられている。 
配電、電線管 配線に著しいきず、破損がない。 電線管に著しい汚れ、さび、腐食、きず、破損がない。 電線管が正しく固定されている。 配線引込口にすき間などが生じていない(小動物の侵入防止)。 結束バンドの破損、外れがない。 
防水処理の確認 コーキングなどの防水処理 に異常がない。 雨水など水の浸入跡がない。 水抜き穴などの処理がされている。 
異常音、異臭など 運転時の異常音、異常な振動、異臭及び異常な 過熱がない。 
外箱の内部の状態 雨水、虫類、小動物の侵入 がない。 著しい汚れ、さび、腐食、きず、破損及び変形がない。  
部品の落下 PCSの内外に部品の落下がない。 
周囲の状況 周囲にものが置かれていない。(離隔距離の確保)
総発電量 シミュレーション値と比較し、著しく少なくない。 
表示部 表示部の発電状況に異常 がない。 表示部にエラーメッセージ、異常を示すランプの点灯、点滅がない。 
整定値 正しく設定されている。 
破損、動作表示 避雷器(サージアブソーバ、SPD、バリスタなど)に異常がない。 
通気確認 通気孔をふさいでいない。 換気フィルタに目詰まりがない(目詰まりしている場合は取扱説明書に従い定期的に清掃する。)。 
接続箇所のゆるみ脱落 端子台、内部機器に緩みがない。 内部機器に脱落などがない。

これらの点検に加え、電圧の計測や試運転等もメンテナンスとして行います。

定期点検の内容に関しては、専門性がより高く頻度もそこまで多いものではない為、専門の業者に依頼することをおすすめします。

パワコンが故障した場合には交換・修理を!

ここまでは、日常点検や定期点検などのメンテナンスについてご紹介しましたが、パワーコンディショナーが故障してしまった場合には、修理・交換を行う必要があります。

基板などの故障箇所の部品交換で済む場合もあります。しかし、修理費用が多額になる場合には交換を行うことをおすすめします。

交換であれば、最新モデルを使用できる為、変換効率の向上による発電量の向上も期待できます。

また、既存のパワーコンディショナーを使い続けるよりも、その後の修理やメンテナンスが楽になるというメリットもあります。

しかし、ベストな状態は故障が起こらないことですので、是非今回の記事を参考に定期的なメンテナンスをご検討ください。

本日も最後までご覧頂きありがとうございました。