太陽光発電のメンテナンス費用について
- 2022/06/02
- 太陽光発電メンテナンス(O&M)
太陽光発電のメンテナンスに関して、費用感を明確に理解されている方は少ないのではないのでしょうか?
メンテナンスフリーで費用が掛からないとお考えの方がいる一方で、売電収入によるメリット以上に多額のメンテナンス費用が掛かってしまうというイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。
実際に、メンテナンスに掛かる費用が明確に理解できていないと太陽光発電を所有するのを不安に感じ、メンテナンスの利用に対して抵抗感を持ってしまいます。
そこで今回は、それぞれのメンテナンス箇所においてどの部分に対してどの程度の費用が掛かるのかということについてご説明させていただきます。
是非、最後までご覧ください。
Table of Contents
太陽光発電のメンテナンスを行うことによるメリット
太陽光発電のメンテナンスには費用が発生してしまいます。
では、メンテナンスを行うことに関して、その費用に見合ったメリットを得ることができるのでしょうか?
ここでは、太陽光発電のメンテナンスを行う事によるメリットについてご紹介します。
発電ロスを減らすことができる
太陽光発電は屋外に設置されているため、自然環境により発電ロスが発生してしまうことがあります。実際に埃や塵、鳥のフンなどによるパネルの汚れや、草木の影になってしまうことなどが原因で、本来発電できる量の100%を発電できないという事例もあります。
そして、それらを長期間放置してしまうことで発電量の大幅な低下に繋がってしまいます。
メンテナンスではこれらの発電ロスを減らすことができます。
パネルの清掃や周囲の草刈りなどを定期的に行うことで、太陽光パネルのポテンシャルをフルに活用して発電することが可能です。
将来的な経費節約に繋がる
後述にもありますが太陽光発電のメンテナンスは小規模の発電所であれば数万円程度、ある程度の規模の発電所であったとしても数十万円程度でメンテナンスを行うことが可能です。
しかし、例えばメンテナンスを行わずに放置し太陽光発電が故障・損傷した場合には、その修理費用として数百万円〜数千万円程度の修理費用が掛かってしまう場合もあります。
そのため、将来的な費用負担を考えた際には、定期的なメンテナンスを行うことで費用負担が安く済むという場合も多く、保険的な意味でもメンテナンスを行うことにはメリットがあります。
ここまでの説明からもお分かりいただける通り、将来的に降りかかるかもしれない損害を予防するという点で、太陽光発電のメンテナンスには大きなメリットがあります。
太陽光発電のメンテナンスで掛かる費用
メンテナンスを行うことによるメリットはここまででお分かりいただけたかと思います。
では、実際に太陽光発電のメンテナンスにはどの程度の費用が掛かるのでしょうか?
主に太陽光発電の運転維持に必要な項目は
・定期点検
・メンテナンス
・パワーコンディショナーの交換
となっております。
また、それぞれの項目ごとにおけるおおよその価格は以下の通りです。
項目 | 費用 |
定期点検 | 3万円(4年間) |
メンテナンス | 100,000円~200,000円/年 |
パワーコンディショナー | 20万円/台 |
定期点検は法律上では4年に1度と定められていますが、積雪の多い地域などでは、4年に1度以上メンテナンスを行う方が望ましいため、上記以上の費用が掛かってしまうこともあります。
また、太陽光発電のメンテナンスについて資源エネルギー庁から公表されている資料によると、費用感は以下の通りとなります。
引用:資源エネルギー庁「太陽光発電について」
おおよそkWごとに年間0.5万円の費用が掛かることが表から読み取れます。
そのため、実際にメンテナンス費用を試算する場合は、
発電容量×0.5万円/kW
を計算していただくとおおよその費用感がお分かりいただけます。
太陽光発電でメンテナンスは本当に必要?
ここまで、ご覧頂いた方の中には、想像以上にメンテナンスの費用がかかるなと感じた方もいらっしゃるかもしれません。先述の通りメンテナンスを行うことによるメリットは大きいものの、その必要性について疑問を抱かれている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ここでは、太陽光発電におけるメンテナンスの必要性についてご説明させていただきます。
結論から申しますと、多くの太陽光発電でメンテナンスが必須となっています。
理由としては、改正FIT法により太陽光発電のメンテナンスが義務化されているためです。
改正FIT法とは、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」のことであり、別名「固定価格買取制度」とも呼ばれます。
この法律はFITで売電を行う全ての太陽光発電に適用されます。
従来は高圧または特別高圧の太陽光発電に対して、電気主任技術者による年2回のメンテナンスが義務付けられていました。しかし、太陽光発電の相次ぐトラブルにより、FITで売電を行う低圧の太陽光発電においてもメンテナンスが義務化されたのです。
そのため、現在メンテナンスが必要とされていないのは、
・完全自家消費型の低圧太陽光発電
・FITを用いた売電を行わない太陽光発電
に限られており、それ以外の太陽光発電設備に関しては、メンテナンスは必須となっています。
また、義務化の対象とならない上記の低圧太陽光発電設備に関してもメンテナンスを行うことがオススメです。
太陽光発電は、常に直射日光や雨風にさらされている為、自然災害による被害や設備の故障はつきものです。
実際に、
・雑草が生い茂っている
・太陽光発電設備の各種部品等が散乱している
等のトラブルに関しても多数報告されています。
これらのトラブルによる大きな災害を防ぐためにもメンテナンスは必要です。
また、メンテナンスを行うことで、仮に故障が発生した際にもその後の復旧をスムーズにできます。それは、定期的なメンテナンス記録を残すことで、設備が故障した際に過去の記録から故障の原因を早期に突き止めることができるためです。その他、メーカーの保証を受ける際の証明書となる等、メンテナンスは「もしも」のことが起こった際に非常に役立ちます。
これらのことからも、一定程度の費用は掛かってしまうものの、全ての太陽光発電においてメンテナンスは行うべきであると言えます。
ご自身でメンテナンスを行うのは禁物
費用のことを考えると、自分でメンテナンスを行うことでメンテナンス費用を抑えることができるのではないかと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか?
確かに、自分で行った分だけ業者に依頼するメンテナンス内容は減るため、費用を節約することができます。
しかし、基本的にメンテナンスをご自身で行う事はおすすめできません。
太陽光発電設備は、配線など電気を扱う作業が伴うことが多く、そういった知識の無い方がメンテナンスを行うと感電してしまう恐れがあります。また、パネルやその他設備を破損させてしまったり、破損によってケガをしてしまったりする可能性もあります。そうなった場合、本来メンテナンスで発生する以上の費用が掛かってしまうことも考えられます。
そのため、太陽光発電設備を安全に運用していくためには、専門知識を持ったプロの業者に依頼することをおすすめします。
一方で、日常の目視の点検に関してはご自身で行っていただくことが可能です。
・太陽光パネルに草木が被り影を作っていないか
・架台やパネルにズレや損傷はないか
・パワーコンディショナーや接続箱に腐食はないか
等、これらの内容に関しては、日常的に目視で確認することによって早期にトラブルを解決することができます。
そのため、メンテナンスに関しては定期的に業者に依頼し、可能であればご自身で日常のチェックを行っていただくことがおすすめです。
今回の内容を参考に、是非太陽光発電のメンテナンスについてご検討ください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。