太陽光・オール電化コラム

脱炭素とは?

  • 2022/07/17
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昨今、「脱炭素」や「カーボンニュートラル」などの言葉を耳にする機会が増えてきました。

実際に、企業においても取引先や金融機関などから脱炭素化に向けた取り組みを求められることが起き始めているのではないでしょうか?

しかし、実際にそれらの言葉の意味や世の中の動き、企業として取り組むべきことなどを理解できていない方も多いと思います。

今回は、脱炭素について世界・日本の動きや実際に企業として取り組むべきことについてご説明いたします。

脱炭素とは?

脱炭素とは「温室効果ガスにおいて、排出量から吸収量・除去量を差し引いたものをゼロにすること」つまり「温室効果ガス排出量を実質ゼロにすること」を指します。

ここで定義されている温室効果ガスとは、二酸化炭素・代替フロン等4ガス・メタン・一酸化二窒素の4種類を指し、排出量は12.12億t-CO2になります。

これらの種類別の排出シェアは以下の通りです。

排出量としては、圧倒的にCO2が多いことがグラフから読み取れます。

では、これらの温室効果ガスはいったいどこから排出されているのでしょうか?

部門別に排出シェアをまとめたものが以下のグラフです。

排出量の1/2以上が産業又は運輸における排出となっております。

一方、皆様が生活を行う家庭での排出量はわずか全体の14%程度にとどまっているということがこのグラフからわかります。

本来、脱炭素を達成するためにはこれらの温室効果ガスを全く排出しないことが理想とされています。しかし、それらを私たちの実生活や事業に落とし込むとなると現実的ではありません。そのため、温室効果ガスを排出した場合には、森林による吸収などにより温室効果ガスの排出と相殺し実質的な排出量をゼロにすることによって、脱炭素の達成を目指します。

脱炭素を達成できないとどうなる?

しかし、いったいなぜ温室効果ガスを排出することが良くないとされ、脱炭素への取り組みが求められているのでしょうか?ここでは、脱炭素に取り組まないことによるリスクについてご紹介致します。

脱炭素を達成できないことで、排出され続けた温室効果ガスが熱を吸収し気温上昇が急激に進みます。それにより、異常気象の深刻化、海氷の融解による海面上昇、生物の生息域の変化が起こり、

  • 自然被害
  • 健康被害
  • 経済被害

大きく分けてこれら3つの被害が起こることが想定されます。

自然被害

自然被害では、主に農林水産業への被害が予測されています。

予測される被害の例は下記の通りです。

項目想定される被害
農業気候変動に脆弱な水稲や果樹などの品質低下
林業山地災害防止機能の限界を超えた山腹崩壊
水産業水温の上昇に伴うアユの漁獲量の減少
水環境湖沼・ダム湖・河川での溶存酸素の低下
生態系種の生育地の分断化による絶滅可能性
自然被害海氷の融解に伴う海面上昇による高潮・高波リスクの増大

健康被害

健康被害では、主に気温上昇による人体への影響や伝染病の拡大などが予測されています。

想定される被害の例は以下の通りです。

項目想定される被害
暑熱気温上昇に伴う熱中症死亡者数の増加
感染症感染症媒介蚊の生息域拡大に伴うデング熱等感染症の拡大

経済被害

経済被害では、主に産業や経済活動などにおける被害が予測されています。

想定される被害の例は以下の通りです。

項目想定される被害
産業気温上昇に伴う生産設備等への直接・物理的被害
経済活動海面上昇による砂浜減少に伴う沿岸部レジャーの減少
国民生活渇水・洪水に伴う水道インフラへの影響

脱炭素を達成しないことにより、これらの被害が世界規模で起こる可能性があります。そのため、現在世界的に脱炭素化に向けた取り組みが求められています。

脱炭素の達成に向けた世界的な動き

ここまで、脱炭素を達成しないことによるリスクについてご説明しました。

世界では、これらのリスクを回避するために脱炭素の達成に向けた取り組みを行っています。

では、実際に「脱炭素」に焦点を当てて世界が動き出したのはいつごろからでしょうか?

きっかけは、2015年にパリにて開催された気候変動枠組条約締約国会議(COP21)です。この会議にて採択されたのが「パリ協定」という温室効果ガスの排出量削減に向けた取り組みです。これまで、温室効果ガスの削減は先進国に限られた取り組みでした。

実際に、2008年に締結された京都議定書では、その対象は先進国に絞られています。しかし、今回のパリ協定では発展途上国も含むすべての国で、産業革命前からの平均気温の上昇を2℃未満に保持、1.5℃未満に抑えることを目的として、温室効果ガスの削減目標の設定が求められることとなりました。

これにより、脱炭素が世界的な課題となり、各国が様々な取り組みを行うようになったのです。

脱炭素の達成に向けた日本の動き

日本における温室効果ガス削減の取り組みは2008年に締結された京都議定書がきっかけで加速しました。京都議定書では1990年比で6%の温室効果ガスの削減が求められており、日本はそれを達成しました。

パリ協定採択当時、日本における温室効果ガスの削減目標は2030年:26% / 2050年:80%でした。しかし、その後の2019年に環境への取り組みが前向きではないことから「化石賞」と呼ばれる不名誉な賞を受賞してしまいます。そこで、2020年10月菅総理大臣は自身の所信表明演説にて、「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言し、2021年には2030年の削減目標も46%へと修正されました

実際にこの目標を達成するために、日本では様々な計画書を策定したり、法改正が行われたりしています。

グリーン成長戦略

グリーン成長戦略とは、カーボンニュートラルへの挑戦を経済と環境の好循環につなげるために策定された産業政策です。

「エネルギー関連産業」「輸送・製造関連産業」「家庭・オフィス関連産業」の3つの産業の中から、14の重要分野ごとに高い目標設定した上で、現状の課題と今後の取り組みが戦略として明記されることとなりました。

温対法改正

地球温暖化対策のために全ての人が自主的かつ積極的に取り組むための法律です。

この温対法が2021年に改正され、

  • パリ協定・2050年カーボンニュートラルを踏まえた基本理念の新設
  • 地方創生につながる再エネ導入の促進
  • 排出量情報のオープンデータ化

が新たに加わりました。これにより、脱炭素への取り組みが自治体や企業を中心として実施されることとなりました。

地域脱炭素ロードマップの策定

地域脱炭素ロードマップとは、2050年までに脱炭素社会を実現するために、国と地方が協働・共創しながら展開していく過程を示す行程表です。

脱炭素社会はもちろんのこと、持続可能で強靭な活力ある地域社会も同時に実現することを目的としています。

各所で自治体を主導とした「モデルづくり」を軸に、その成功事例をもとに全国の自治体で脱炭素化の達成、また同時に脱炭素化による地域固有の問題の解決が期待されています。

また、これらの取り組みは2021年に総理大臣に就任した岸田政権でも引き継がれており、COP26にて「気候変動という人類共通の課題に日本は総力を挙げて取り組んでいく」と述べ脱炭素の達成に前向きな姿勢を示しました。

削減目標に関しても「2050年の「カーボンニュートラル」を実現するため、2030年度の温室効果ガスの排出量を2013年度から46%削減することを目指し、さらに50%に向けて挑戦する」と説明し、今後脱炭素の達成に向けた動きがより一層加速していくことが予測されます。

脱炭素の達成に向けた企業の取り組み

ここまで、脱炭素に向けた世界・日本の取り組みについてご紹介しました。

脱炭素に向けた取り組みが行われているのは国家レベルだけではありません。

実際に企業においても脱炭素化に向けた取り組みが加速しています。

ここでは、企業の取り組み事例として株式会社大川印刷の取り組みをご紹介します。

株式会社大川印刷

株式会社大川印刷では、脱炭素へ向けた取り組みとして電力の脱炭素化を達成しております。

具体的な取り組み内容としては、

  • 自社への太陽光発電設備の導入
  • 取引先・同業他社向けのセミナーや見学会の開催

などを行っています。

この会社では、自社の社屋に太陽光発電を設置し、残りの電力を環境価値の購入で賄うことで再エネ100%を達成しました。

自社がカーボンニュートラルを達成したことで社員の意識も高まり、セミナーでは従業員が講師として登壇するといった好循環が生まれています。

上記のように、企業においても脱炭素の達成のために様々な取り組みを行っており、それが企業の体制良化や業績UPに結び付いています。

企業がまず取り組むべきこと

では、実際に企業において脱炭素の達成に向けた取り組みを行うとなった場合、まず何から始めるのが良いのでしょうか?

おすすめさせていただきたいのは、自家消費型太陽光発電の導入です。

企業における温室効果ガスの排出行動には様々なものがあります。その中でも、電力の脱炭素化は企業にとっても取り組みやすく、温室効果ガスの削減インパクトも大きいことから脱炭素への取り組みを始める企業にとっては非常におすすめです。

電力の脱炭素化において特に有効な手段となるのが、自家消費型太陽光発電の導入です。

自家消費型太陽光発電を導入することで、再エネ価値の価格に左右されることなく将来的な総調達コストを抑えて電力の脱炭素化を達成できます。

さらに、再エネ電気を直接調達することで、外部の再エネ価値に頼らない「真のRE100」を達成することができるため、企業価値の向上にもつながります。

ぜひ、皆様の脱炭素化への取り組みの第一歩として、自家消費型太陽光発電の導入をご検討ください。

本日も最後までご覧頂きありがとうございました。