令和4年度優遇税制解説
- 2022/12/09
- 自家消費型太陽光発電
- 自家消費型太陽光
経営者の方をはじめ設備担当者の方であれば、節税対策について検討される機会があるのではないでしょうか?特に特需などによって大幅な利益が出た場合には、節税を行わないと税金による負担が重荷になってしまいます。
様々な節税対策がありますが、実は自家消費型太陽光発電の導入でも節税対策ができます。
自家消費型太陽光発電は導入による初期費用が大きいため、節税対策を行うことで大幅な節税ができるだけではなく、導入による費用負担を軽減し投資回収を早めることも可能になります。
今回は、企業で活用できる節税方法と自家消費型太陽光発電を導入することで活用できる優遇税制についてご紹介致します。
是非、最後までご覧ください。
Table of Contents
企業における節税方法とは?
「節税」というと「税金逃れ」のイメージがあり、あまり良い印象を持たれない方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか?しかし、様々な節税制度を活用することで、法律の範囲内で税負担を軽くすることができます。
ここでは、節税制度を用いることで活用できる節税方法についてご紹介します。
即時償却
即時償却とは、設備投資を行った初年度に取得単価を100%経費として計上できる償却方法です。
例えば、1,000万円の機械設備を購入した場合、通常であれば減価償却費として、耐用年数に応じた償却額を毎年経費として計上しますが、即時償却であればその事業年度に全経費(特別損失など)に計上することができます。
特別償却
特別償却とは、設備を導入する際に通常の減価償却費に加えて一定割合の償却が追加でできる償却方法です。
例えば、1,000万円の機械設備(耐用年数20年)で減価償却する際、毎年50万円ずつ経費計上できますが、これに加え30%の特別償却を行った場合1,000万円の30%である300万円を経費としてその事業年度に加算することができます。
税額控除
税額控除では、特別償却と同じく減価償却として経費計上は行いますが、税額から取得価格の7%(又は10%)を差し引くことができます。
なお、差し引ける金額(控除額)は、その事業年度の法人税額の20%相当額を超える場合には20%相当額が対象となります。
企業はこれらの節税方法を上手く使い分けることでより大きな節税効果を得ることができます。
例えば、特需などで単年度の増収を見込んでいる企業様であれば、その事業年度に設備投資をして「即時償却」をした方がお得になりますし、支払する税金の総額を抑えたいのであれば「税額控除」が有効です。
中小企業経営強化税制
ここまででご説明した節税方法ですが、優遇税制を活用することによって自家消費型太陽光発電の導入でも節税対策を行うことができます。
ここからは自家消費型太陽光発電の導入で活用できる優遇税制についてご紹介致します。
まずご紹介するのは中小企業経営強化税制です。
中小企業経営強化税制では100%の即時償却又は7%(10%)の税額控除のいずれかを活用することができます。
税額控除を適用する場合、企業の資本金によって控除される額が異なっており、
- 資本金3000万円以下の法人/個人事業主 ⇒10%
- 資本金3000万円超~1億円以下の法人 ⇒7%
となっているため、注意が必要です。
また、本優遇税制を活用して太陽光発電の導入を行う場合、50%以上の自家消費を行うことが条件となっています。
そのため、自家消費型太陽光発電を導入する際には、自社の消費電力量に見合った発電容量での設計が求められます。
中小企業投資促進税制
次にご紹介するのは、中小企業投資促進税制です。
中小企業投資促進税制では30%の特別償却又は7%の税額控除のいずれかを活用することができます。
こちらの優遇税制では、企業の資本金によって活用できる節税方法が異なっており、
- 資本金3000万円以下の法人/個人事業主 ⇒30%の特別償却又は7%の税額控除
- 資本金3000万円超~1億円以下の法人 ⇒30%の特別償却のみ
となります。
本優遇税制では、活用の条件として30%以上の電力の自家消費が求められています。中小企業経営強化税制と比較して、償却額や控除額は少なくなってしまうものの、活用の条件としてはハードルが低いため、自家消費率が50%を下回る場合にはこちらの優遇税制を活用することをおすすめします。
カーボンニュートラルに向けた投資促進税制
ここまでご紹介したものは中小企業向けの優遇税制です。
これらの優遇税制を活用できるのは、個人事業主または資本金1億円以下の法人に限られてしまいます。
では、大企業が自家消費型太陽光発電の導入で節税を行うことはできないのでしょうか?
実は大企業でも活用できる優遇税制が存在します。
そこで、最後にご紹介するのは、カーボンニュートラルに取り組む法人を対象にした優遇税制です。
カーボンニュートラルに向けた投資促進税制では、50%の特別償却または5%/10%の税額控除のいずれかを活用することができます。
税額控除の割合に関しては、炭素生産性の向上率によって異なります。
炭素生産性が3年以内に10%以上向上でき、なおかつ実際に10%向上させることが出来れば10%の控除を受けることが出来ますが、
3年以内の向上率が7%以上に留まってしまう場合には、5%の控除しか受けることが出来ません。
また、この優遇税制の特徴は、先述の通り青色申告を行っている法人であれば、企業規模に関係なく使用することができるということです。節税メリットに関しては、中小企業向けの優遇税制の方が大きいものの、大手企業で優遇税制を活用した自家消費型太陽光発電の導入をご検討されている方はぜひ活用をご検討ください。
結局どの優遇税制を活用するのがオススメ?
ここまで、自家消費型太陽光発電で活用できる優遇税制についてご説明させていただきました。では、実際に優遇税制を活用して自家消費型太陽光発電を導入するとなった場合、どの優遇税制を活用するのがおすすめなのでしょうか?
大企業の場合
大企業では、活用できる優遇税制がカーボンニュートラルに向けた投資促進税制に限られてしまいます。そのため、活用する優遇税制について検討を行う必要はありませんが、自社の現状に応じて、特別償却または税額控除のどちらを活用する方がお得なのかを見極める必要があります。
中小企業の場合
中小企業であれば
- 中小企業経営強化税制
- 中小企業投資促進税制
- カーボンニュートラルに向けた投資促進税制
の3つの優遇税制が活用できます。では、これらのうちどれを活用するのが一番お得なのでしょうか?
結論、中小企業経営強化税制の活用が一番おすすめです。
中小企業経営強化税制を活用すると、利益が大きく出ている企業であれば即時償却による節税が可能です。また、税額控除を活用する場合でも、資本金3,000万円以下であれば、10%の税額控除を受けることができます。
太陽光発電の自家消費率を50%以上にしなくてはならないという規定はありますが、それをクリアできれば大きな節税効果を得ることができるため、非常におすすめです。
優遇税制の活用を検討される際はお早めに!
ここまで、各種優遇税制についてご説明しましたがそれぞれの期限は以下の通りとなっております。
優遇税制 | 期限 |
中小企業経営強化税制 | 令和5年3月31日 |
中小企業投資促進税制 | 令和5年3月31日 |
カーボンニュートラルに向けた投資促進税制 | 令和6年3月31日 |
ここで注意していただきたいのは、これらの期限は「申請までの期限」ではなく「認定までの期限」であるということです。実際に、各種優遇税制は申請の準備を始めてから認定を受けるまでに時間が掛かります。
例えば、中小企業経営強化税制を活用する際には、工業会の証明書発行までに約2ヵ月、「経済産業局による確認書」の発行までに約1ヵ月、各担当省庁における計画申請から計画認定までに約1ヵ月の時間がかかってしまいます。
そのため、優遇税制を活用した自家消費型太陽光発電の導入をご検討される方は是非お早めにご相談いただくことをおすすめください。
本日も最後までご覧頂きありがとうございました。